日本のポップスシーンには、長い年月を経てもなお色褪せない「2人組ユニット」がいくつか存在する。今回はその代表格であるPUFFYを軸に、そして今まさに再び注目を集めているHALCALIについても触れながら、彼女たちの音楽と魅力を振り返ってみたい。
PUFFY――デビュー30周年を迎えた”パフィー節”
大貫亜美と吉村由美によるPUFFYがCDデビューしたのは1996年5月。プロデュースを手がけたのはユニコーンのボーカルとしても知られる奥田民生で、彼が他アーティストをプロデュースするのはこれが初めてだったという。さらに元Jellyfishのアンディ・スターマーもサウンド作りに深く関わり、ビートルズやABBAを思わせるキャッチーなポップセンスを吹き込んだ。「アジアの純心」「これが私の生きる道」など、デビューから4作連続でミリオンヒットを記録し、当時の新人アーティストとしては異例の売れ行きを見せた。
PUFFYの魅力は、その飄々とした自然体な佇まいにある。楽曲は基本的に他者から提供され、2人はただ気持ちよく歌う。KIRINの天然育ちのCMに出るなど幅い活動を見せた。作りこまれていない空気感こそが、彼女たちが長く愛されてきた理由だろう。2004年にはアメリカでアニメ番組『Hi Hi Puffy AmiYumi』がスタートし、世界110カ国以上で放映されるなど、海外でも独自の人気を築いた。
そして2026年、PUFFYはデビュー30周年という節目を迎えた。5月には記念すべきアニバーサリーイヤーを祝い、自ら主催するフェス「PUFFYの”P”FES(東急ドレッセとどろきアリーナ)」の開催を発表した。7月19日・20日の2日間、代表曲のスペシャルライブやゆかりのあるアーティストとの共演を通じて、30年の軌跡を見せてくれるイベントとなる。
同時期にはアナログ盤「30th Anniversary」もリリースされ、長寿トーク番組『徹子の部屋』への初出演も実現するなど、節目の年ならではの動きが続いている。
HALCALI――23年前の楽曲が世界でリバイバルヒット
PUFFYと同じく「自然体な2人組」として語りたいのがHALCALIだ。HALCAとYUCALIは小学生時代から仲の良いダンススクール仲間で、2002年のfemaleラッパー・オーディションで優勝したことをきっかけに、RIP SLYMEのRYO-ZとDJ FUMIYAのプロデュースのもと、2003年1月にシングル「タンデム」でデビューした。キャッチーなラップとポップな世界観で、当時のサブカルシーンを牽引した存在だ。
2013年に事務所との契約が終了して以降、HALCALIは正式な解散を発表しないまま、ユニットとしての活動を休止していた。HALCAは写真家として、YUCALIはケータリング事業や音楽活動と、それぞれ個々の道を歩んでいたが、水面下では強い絆が保たれていたという。
そんなHALCALIが再び脚光を浴びるきっかけとなったのが、1stアルバム収録曲「おつかれSUMMER」だ。海外の音楽ファンがこの楽曲をTikTokに投稿したことから世界的なバイラルヒットとなり、再生回数は数十億回に到達。TikTokの音楽チャートで1位を記録するほどの盛り上がりを見せた。この反響を受け、2025年9月にはコヤブソニックにシークレットゲストとして出演し、実に十数年ぶりにステージに立った2人は、2026年4月、8月開催の「SUMMER SONIC 2026」への出演を正式発表。13年ぶりの本格的な音楽活動再開として大きな話題を呼んでいる。
「昔の曲がSNSをきっかけに再評価され、本人たちの活動再開につながる」というのは、ストリーミング時代ならではの現象だ。当時をリアルタイムで知る世代にとっては嬉しい”帰還”であり、若い世代にとっては新しい発見でもある。
「作りこまれていない魅力」が世代を超える
PUFFYとHALCALIは、活動時期もジャンルも異なるが、共通しているのは「肩の力の抜けた自然体な魅力」だと思う。流行に迎合しすぎることも、逆に頑なになることもなく、自分たちのペースで音楽と向き合ってきた。その姿勢が、結果として長い時間を経ても色褪せない普遍性を生み出しているのではないだろうか。
2026年は、PUFFYがデビュー30周年を祝い、HALCALIが13年ぶりの再始動を果たすという、両者にとって象徴的な一年になった。世代を超えて愛される音楽がどのように生まれ、どのように受け継がれていくのか。この夏、それぞれのステージでその答えの一端を見ることができそうだ。