京都アニメーションが6年ぶりに手がけたオリジナルアニメ『CITY THE ANIMATION』も、いよいよ終盤戦。今回は第10話にスポットを当てて振り返っていきます。

第10話の位置づけ:CITYレースの熱狂から一転、コメディ回へ

全13話中の10話目にあたる本エピソードは、最終盤へ向けた個人的な目標や人間関係の伏線を丁寧に積み上げる、コメディ色の強い「箸休め」回として機能しているという位置づけです。前話・第9話で描かれた「第4回CITYレース」の熱いスペクタクルから一転し、今回はキャラクター一人ひとりにフォーカスした群像コメディのパートへとギアを落とす構成になっており、放送日は2025年9月8日、原作漫画でいうと第28〜30話あたりのエピソードが該当します。

タイトルからも分かる通り、今回は複数の短編エピソードをオムニバス的につないでいく構成。「あの日あの夏」「動画配信者・南雲」「わらしべ出前」「自尊心」「泉りこFC」「歴史に名を刻み込む!2年3組!」と、テンポよく話が切り替わっていくのがCITYらしいところです。

見どころ①:南雲、まさかのVtuberデビュー!?

今回一番の話題は、なんといっても南雲美鳥がにーくらの手によって”配信者”に仕立て上げられるくだり。にーくらが南雲にケモミミをつけ、可愛らしい衣装を着せてVtuber風に売り出そうとする「一攫千金」計画は、視聴者の間でもかなり笑いを誘ったパートのようです。金欠キャラでお馴染みの南雲が、今度は”稼ぐ手段”として配信に手を出すという展開自体がCITYらしい脱力系ギャグで、いつも通りの珍騒動に発展していきます。

city the animation10話

見どころ②:カフェパートの柔らかな空気感

一方で今回は、賑やかなドタバタだけでなく静かで温かいシーンも印象的だったという声が上がっています。カフェを舞台にした落ち着いたトーンのシーンでは、暖色系の照明と柔らかな色使いが際立ち、ちょっとした仕草の作画も非常に滑らかに仕上がっているとのこと。京アニならではの空気感の演出力が、コメディの合間にさりげなく光る回だったと言えそうです。

見どころ③:「わらしべ出前」「泉りこFC」など小ネタの応酬

「わらしべ出前」や「自尊心」「泉りこFC」といった小エピソードが次々と展開され、CITYの住人たちの何気ない日常が積み重なっていきます。派手な事件があるわけではないものの、こうした小さな出来事の連鎖こそがこの作品の持ち味。今回はその”日常の粒度”がいつも以上に丁寧に描かれていた印象です。

自尊心は「モンブラン大学の学生であり、劇団主宰・脚本担当の光岳伸晃(てかりだけ のぶてる / CV: 福山潤)率いる「劇団テカリダケ」のエピソードです。劇団テカリダケは、光岳以外の劇団員が全員「動物(アヒルのガー介、ハリモグラのハリ坊、サルなど)」という前代未聞の劇団です。光岳本人は舞台袖で和太鼓を叩き、威勢のいい講談風の語り(ナレーション)で物語を進行させます。この劇団は光岳がノリノリで和太鼓を叩くので見ていてとても満足感があります。

視聴者の反応

視聴者からの評価も上々で、終盤に向けてカオスな勢いが失速しないことを喜びつつ、キャラクターたちの個性豊かな掛け合いを「楽しい」「続編があれば嬆しい」と評する声が見られました。派手さより温度感を重視した構成が、シリーズファンにしっかり刺さっている様子がうかがえます。

第10話は、CITYレースというクライマックス的なイベントの後に置かれた「箸休め」回でありながら、Vtuber南雲というインパクトのあるネタと、カフェシーンの丁寧な作画という緩急のバランスが光る一本でした。物語の本筋としての重要度は高くないものの、キャラクターの魅力を再確認できる回として、終盤に向けた助走にふさわしい内容だったと思います。次はいよいよ物語も佳境。残り数話でどんな伏線が回収されていくのか、引き続き楽しみは続きます。