荒川弘先生原作のTVアニメ『黄泉のツガイ』も第23話まで来ました。今回は物語が終盤に向かう中で、これまでのバトルの後始末と、次の大きな波乱への仕込みが同時に描かれた回でした。
アキオとナツキ、そして山風・谷風の異変
公式のあらすじによると、ナツキは、姉弟として家族になったはずのアキオがなぜ影森家を裏切ったのかを問い詰めます。しかしアキオは弁明せず、ヤマノカミを案じる様子を見せます。同じ頃、影森屋敷の庭では、謎の粘菌に侵された山風の本尊が爆発します。
爆発を耐えたうさちゃん
爆発をしのいだうさちゃんは、谷風の本尊がいないことに気づき、危険を知らせるため影森家へ走ります。そこへ谷風がアキオとナツキの前に現れ、複数の危機が一本の線につながっていきます。

黄泉のツガイ23話
アキオは逃げ切り、ユルは倒れる
アキオは脱出に成功します。ツガイが主を守ろうとする性質を利用した、非情なやり口で逃げられてしまい、また犠牲者が出ました。一方、極限の緊張が切れたユルは体調を崩して倒れます。
見どころ・感想
① 「情と理」というタイトルが効いている
みどりさんはアキオの捕縛を解き、主であるマコトの保護を優先しました。ツガイにとって主を守るのは本能ですが、それがそのまま弱点にもなります。「情」で動いた結果が、戦況では取り返しのつかない結果になる。その皮肉が、このタイトルの重みだと感じました。
② 緊迫の中に差し込まれる日常のぬくもり
シリアスな展開の中で光ったのが、体調を崩したユルの描写です。看病のために家の人たちが総出で動き回り、ユルは暗くて狭い場所が落ち着くのか、押し入れで布団にくるまっていました。世間知らずなユルらしいかわいさに、思わず笑ってしまいます。東村で孤独に育ったユルが、少しずつ「家族のいる場所」を得ていく様子も感じられました。
③ 田寺家に新しい居候

田寺家(デラさんの家)には、新たな居候としてアザミちゃんが加わります。ハナさんの周りに子どもが増えていく様子は微笑ましい反面、アザミが親の事情に振り回されてここへ来た経緯を思うと、胸が痛みます。
④ 状況整理としての面白さ
ある感想では、この回は今後の大きな動きに備えた状況整理のような話と評されていました。たとえば、各陣営のツガイ使いの中に死体の処理を担う役割の人がいることが明かされ、ハナがその役を務めていることを影森家が把握している、という点も見逃せません。デラがそれを警戒する場面には、陣営同士の腹の探り合いがよく表れていました。
⑤ ラストに現れた西ノ村の面々
終盤には、西ノ村の幹部たちが姿を見せます。これまで対立してきた東村とは別の勢力との対決になる流れで、続きが気になる幕引きでした。東・影森家・西という三つ巴の構図が、いよいよ表に出てきた印象です。
第23話は、アキオの逃走とユルの不調というダメージを描きつつ、田寺家の日常や西ノ村の登場で次の回への期待も高める、静と動のバランスが絶妙に取れた回でした。「情と理」のどちらを選んでも何かを失う、というこの作品らしい苦い部分も味わえます。