荒川弘原作のアニメ『黄泉のツガイ』、第21話「ザシキワラシと東村」を振り返っていきます。派手なバトルこそ控えめな回でしたが、物語の核心に迫る重要な回でした。

あらすじ

今回は陰陽の結界の中で、ユル・アサ・ダンジ・キリ(偽アサ)の4人が言葉を交わし合う展開が中心となります。ザシキワラシの視点を通して、東村がこれまで歩んできた過去が明かされていく構成です。前話(第20話)からの引きを丁寧に回収する形で、ほぼ1話まるごとを会話と回想に費やしています。

黄泉のツガイ21話

一方で、結界の外に出たユルとアサは、10年ぶりに兄妹二人だけで向き合う時間を持ちます。アサはザシキワラシから聞き出した真実をもとに、彼らを陰陽の中から解放するよう指示。その際ダンジは、アサが実は誰も殺していないことをユルに伝えます。

偽アサの正体が明らかに

これまで「偽アサ」として描かれてきた存在が、本話でついにツガイとしての本来の姿を見せます。キョウカのツガイであった「ダンジ」と対をなす存在として、偽アサの正体が「キリ」であることが判明。長らく視聴者の間で謎とされてきた要素の一つが、ここでようやく回収された形です。

東村の黒幕、ヤマハへの疑念が深まる

今回とくに印象的だったのが、東村の長である老婆・ヤマハをめぐる不穏な空気です。ツガイを利用してユルを欺いていたキョウカですが、ダンジの証言によれば、それはヤマハの指示によるものであり、キョウカ自身は本意ではなかった様子がうかがえます。ヤマハに内緒でユルを守るようダンジに指示していたエピソードからも、キョウカの善良さが浮かび上がる一方、解・封の力を得るためにユルたちを過酷な状況へ追い込んでいる黒幕はヤマハなのではないか、という疑いが強まる展開になっています。東村で最も長く生き、年齢不詳とされるヤマハの存在感は、今後の伏線として無視できません。

ユルとアサ、10年ぶりの兄妹の会話

本話でもっとも心に残るのは、ユルとアサが結界の外で二人きりになるシーンでしょう。外の世界で常に命を狙われながら戦い続けてきたユルとは対照的に、アサは座敷牢の中で暴力とは無縁のまま育った、優しい女の子でした。しかし両親の失踪や「解」の力への覚醒を経て、大切な人々や兄を守るためなら自分が戦うという決意を固めたのだと考えられます。

ユルは、ダンジやキリの存在が自分たちの支えだったと振り返り、アサはこれからやりたいこと、年相応の女の子らしい願いを語ります。そしてユルは、両親のこと、さらにイワンが「二人を斬った」と口にしていた事実を伝えます。動揺するアサの手をユルが力強く握り、大丈夫だと励ますシーンでは、その温もりに支えられたアサが再び前を向くことができました。

再会した直後はどこかぎこちなかった二人の関係が、この回を経て本当の意味で修復に向かい始めたことを感じさせる、シリーズ屈指のエモーショナルなパートだったと言えるでしょう。

第21話は戦闘シーンこそ少ないものの、東村の内部事情、偽アサ=キリの正体、そしてユルとアサの兄妹関係という3つの大きなテーマを丁寧に描き切った回でした。特にヤマハというキャラクターへの不信感が明確に提示されたことで、今後東村編がどう決着していくのか、目が離せない展開になっています。次の第22話「影森兄弟と黒谷姉弟」以降、東村の真相とアキオの過去がどう絡んでくるのか、楽しみな内容になっています。